UIの制作っていつやるべき?開発フェーズでは遅い理由と、ちゃんと機能するUIUXの話
新規プロダクトを立ち上げるとき、最初はとにかく機能を作ることに意識が向きがちです。実際、「とりあえず作ってみてから、見た目やUIはあとで直そう」という声をよく聞きます。
ただ、ほとんどの確率で、画面デザインをなしにしたまま進んでしまうと、完成後にあれやこれや、クライアントのやりたいことが出てきて納期も金額も膨れてしまいます。
開発の現場では、徐々に納期や金額が際限なく膨らんでいくこの状況を、分布図での様子が横長になっていく尻尾の形に見えることから、“ファットテール”と言われたりしますが、
UIをベースに最初に、つまり要件定義フェーズで決め切ってしまうことで、回避ができたりします。
今回は少し個別の制作の視点に立って、UIデザインとはどこで決めるべきかについて解説しています。
開発プロセス、無駄だらけ

Highliteはプロダクト開発・新規事業開発もやっています。
そもそもこの記事を書くに至った経緯はいくつかありますが、第一に支援の中で「新規事業のプロダクト開発フェーズに無駄が多すぎる」と思ったこと。
少々ざっくりですが、通常デジタルサービスの開発は以下のステップで描かれることが多いです。
01 要求定義:クライアントのやりたいことを整理する
02 要件定義:やりたいことを仕様に落とす
03 開発フェーズ:要件定義で定義したものを開発する
04 テスト、リリース:要件定義で定義したものが適切に再現できているかテストを行い、リリースする
“UIデザイン”の検討を03のフェーズに入れることも多く目にしますが、
ファットテールを避けるためには、02、もしくは01からUIデザインをベースに検討すべきではと考えています。
「設計図」としてのUI

“UI”とは、見た目の話ではないんです。
ユーザーが最初に触れるのも、サービスの価値を感じるのも、すべてUIが入口です。
ここを後回しにするのは、ビルの設計図なしに建築を始めるようなもの。
特にプロダクト開発が初心者の方にとっては、UIは要件定義の一部に組み込むべき要素です。
要件をUI観点で見える化しておくことで、認識のズレや無駄な議論が激減します。
よくあるのが、開発フェーズで「とりあえずこの3画面を作ろう」となった後、「あれ、戻るボタンって必要だっけ?」とか「ログイン導線ってどこから?」といった話が開発フェーズで噴き出すパターン。これ、全部要件定義でUIイメージを持っておけば回避できるんです。
人間は見たものでしか判断できない

人は日常生活で得る情報の大半を視覚に頼っています。
古くから「人間の知覚の約8割は視覚から得られる」とも言われており、五感による情報取得の割合は視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1.0%というデータがあります。
要件定義フェーズでは設計書や設定、管理権限、DBの構成など、プロダクト開発において決めるべきことが多数存在します。
そして、その中でも特にUIイメージを見ながら決定した方が良い項目も数多くあります。
UIイメージがない状態で要件定義を進めると、大抵そのような項目は開発を終えた後すぐに「機能を追加したい」「この項目を入れてほしい」「使いづらいから画面を入れ替えたい」などの問題が発生しがちです。
ほぼ100%発生するといっても過言ではないでしょう。
人間の視覚を頼りにしながら、あらゆる開発条件を決定するためにUIイメージを叩き台にして要件定義を行うと、より精緻であり認識齟齬のない進め方が可能です。
逆に開発フェーズで初めてUIが見えてくると、途端に気になる部分が出てきます。そうなった時にあらゆる要件がひっくりかえる可能性が出てきてしまいますよね。
「なんかそれっぽいUI」じゃプロダクトは育たない

UI/UXの設計をしていくときは、ただ“今ある機能を並べて見た目を整える”だけでは足りません。
サービスの価値やビジョン、ユーザーとの関係性を中長期で育てる視点が必要です。
ここを意識せず「他社にもありそうなデザイン」や「流行りのトレンドUI」を当てはめると、確かに最初は“見た目が整っているそれっぽいプロダクト”には見えるかもしれません。
でも、ユーザーにとっての“わかりやすさ”や“信頼感”、“このサービスらしさ”が欠けていると、使い続けてもらえないし、ブランドとしての浸透もしていきません。
身に覚えはないでしょうか?
やたら使いづらい申し込みフォームや、何度も遷移しないと辿りつかない目的のリンク。これらの体験も含めてユーザーは”このサービスは使いづらい”という判断を下してしまいます。

過去米国のリサーチコンサル会社であるCEB社が行った調査でこんなものがあります。
「長期で利用するために必要な要素は、カスタマーサポートでもなく、価格のバランス感でもなく、”購入時の体験”が一番影響がある。」とのこと。
詰まるところ、最初のユーザーの印象をうまく担保すること自体が、サービスを長く使ってもらうために最初の一歩なのです。
UI/UXは、ブランドの約束をカタチにするデザイン

ブランディングとUI/UXは、切っても切り離せない関係です。
たとえば、「シンプルで誠実な保険サービス」と言っているのに、UIがゴチャついてたり、専門用語ばかりだったら、ユーザーは「話が違うな」と感じますよね。私だったらイラついて二度と触りません。笑
しかしこれ、意外とよくあるんです。
UI、ユーザーインターフェースとは、ユーザーとブランドの“接点”そのものであり、そこでの体験がブランドへの信頼を生み出します。
だからこそ、機能やデザインを整理する前に、「自社はユーザーにどう見られたいのか」「どんな振る舞いをするブランドなのか」という視点を共有した上で、UI設計に入ることが大事になっていきます。単なる使いやすさだけではなく、そこを表現としても使うことで、事業成長に大きくポジティブな影響をもたらすことも可能です。
「使いやすい」だけじゃなく、「このサービスらしい」と思わせるUXを

競合がひしめく市場では、ただ便利なだけのUIではすぐに模倣されてしまいます。本当にユーザーに選ばれる体験とは、「このサービスだから信頼できる」「なんか心地いい」と感じさせる、一貫性あるUXです。
たとえば対“人”でも、声色や歩き方、佇まい等から「この人らしい」と感じるのと同じように、導線の設計、文言のトーン、表示タイミング、余白のバランス──こうした細かな“振る舞い”が積み重なって「このブランドらしさ」を形作ります。
だからUIUX支援には、単なる構成整理や見た目改善だけでなく、ブランドの約束をどう表現するかという戦略的視点が欠かせません。
そんなUIUX支援ができるパートナーが欲しいなら

私たちHighliteは、表層的な“UIのキレイさ”ではなく、ブランドを体現するUXの設計と、事業の成長に耐える設計構造を両立する支援をしています。
ビジョンや戦略段階から関わることで、よくある“後戻り”や“形だけの改善”を避け、ユーザーにも事業にも効くUIUXを提案しています。
もし「UIは作るものじゃなく、定義するもの」という考え方に少しでも共感していただけたら、一度相談してみてください。
プロダクトの立ち上げ期だからこそ、最初にきちんと「伝わる設計」をしておくことで、あとから効いてきます。
UIUXを考えてみたい方はお気軽にご相談を!
