”王道可愛い”以外が愛される時代がきた!ラブブやミャクミャクが人気になったワケとは
最近、ラブブやミャクミャクといった「可愛いとは言い切れない」キャラクターが注目を集めています。
なぜこんなにも、ヒトクセの違和感ある存在がここまで愛されているのか。
私たちもその理由が気になり、この流れを丁寧に追ってみることにしました。
そこには、時代の空気や人の感覚の変化が確かに存在しています。今回の記事では、その背景をHighliteの視点で整理しながら、「いま刺さるキャラクターとは何か」を見ていきます。
「可愛い」の常識を覆すキャラクターブーム

画像引用元:POP MART 公式サイトより( https://www.popmart.com/jp/pop-now/set/443 )
最近、「可愛い」の姿が少し変わりつつあります。ラブブ(LABUBU)やミャクミャクのように、ふわふわした癒やし系とは違い、どこか不気味さや違和感を持ったキャラクターが人気を集めています。
初めて見たときは「かわいい…のか?」と戸惑うのに、なぜか目をそらせない。見ているうちに、じわっと愛着が湧いてくる。その「不思議な好き」が広がっているんです。これは単なる流行ではなく、可愛さに対する価値観が「整っているもの」から「クセや個性があるもの」へと移り変わっていることを示しているのかもしれません。
キャラクターブームは著名人のおかげだけではない?
ラブブやミャクミャクが人気になっている背景には、単に「SNSで話題だから」や「有名人が持っているから」といった表面的な理由だけでは説明できないものがあります。確かに若い層はK-POPアイドルが持ってるから自分も買うという購買理由はありますが、それであればラブブ以外の持ち物もブームになってもおかしくはないもの。
明らかにブームにまでなっているラブブ、その裏側には、時代の空気や人々の心理の変化、そしてキャラクターが持つマーケティング的な役割が関係していそうです。
流行の裏側にある時代と心理。「なんか違和感」が「愛嬌」に変わる理由

画像引用元:EXPO 2025 大阪・関西万博公式サイトより( https://www.expo2025.or.jp/overview/character/ )
ミャクミャクが登場した当初は、「怖い」「気持ち悪い」といった声が多くありました。
しかし、イベントや動画で見せたどこかとぼけた動きや、ゆるい仕草によって、その印象は次第に「おもしろい」「なんか好き」へと変わっていきました。
強い違和感を持つ存在でも、批判を恐れずに継続して露出し続けることで、人は次第に「見慣れる」ようになります。見慣れたものには、自然と親しみが生まれる。ミャクミャクはまさに、その変化が人気につながった例といえます。
グロテスクな表現が受け入れられる今の世の中
近年のエンタメやカルチャーを見ると、「きれいで可愛いもの」よりも、少しダークで刺激のあるものが支持される傾向が強まっているように感じます。
例えば、「チェンソーマン」のように、グロテスクさや不条理さを含んだ作品が世界的にヒットしているのは象徴的。人々は、日常の延長線にある優しさだけでなく、もう少しむき出しの感情や本音に触れたいと感じているのかもしれません。
そうした価値観の変化が、「可愛くない」と言われるキャラクターを、むしろ「個性」として受け入れる土壌につながっています。可愛く整ったものより、少しクセがあるものに惹かれるのは、今の時代のリアルな感覚といえそうです。
企業ブランディングとして異系のキャラクターを使うのはあり?
結論から言うと、企業ブランディングとして異形のキャラクターを使うのは「あり」です。
むしろこれからの時代、強い武器になり得ます。
ラブブやミャクミャクのような、王道可愛いではないキャラクターは、ファッションやアートに近い文脈を持ち、既存の癒やし系とはまったく違う立ち位置にいます。
だからこそ、個性を重視する層の目に留まりやすい。企業にとって「他と同じ」は埋もれる要因ですが、「少し変わっている」キャラクターはその差分を一気に生み出します。
そして、見た人が思わず反応してしまう引っかかりは、共感よりも先に認知を作る力が強いです。つまり、可愛くないキャラクターには「覚えられる」というメリットがあるのです。
「普通の可愛い」よりも目立つ、強烈な個性

先ほど触れたように、今は「可愛い」だけでは人の心に届きにくい時代になっています。市場には、いわゆる王道の可愛いキャラクターが数多く存在し、どれも親しみやすい反面、似た印象になりやすいという課題があります。
SNSでも店頭でも同じ「柔らかい目・丸いフォルム」が並ぶ中で、人の記憶に残るのは、少しの違和感やクセを持つキャラクターです。
「なんだか気になる」という感情は、好感よりも先に生まれる入口のようなもので、この引っかかりが認知のフックになります。つまり、「みんなに無難に好かれる可愛い」ではなく、「誰かに深く刺さる個性」を持つこと。それこそが、今のキャラクターブランディングで大きな差別化の武器になるということです。
「違和感」のマーケティング効果
王道の可愛いではないキャラクターは、視線を奪う力があります。例えば、展示会のブースを思い浮かべてみてください。
シンプルなロゴや無難な配色のパンフレットが並ぶ中で、もし「ちょっと変な顔」をしたキャラクターが描かれた一枚が置かれていたら、つい手に取りたくなりませんか。人は、整ったものよりも少しズレたものに反応しやすい生き物です。
実際、某巨大企業のマーケ担当者から聞いた話なのですが、ポケットティッシュを配る際に受け取られる確率が高いのはキャラクターが入ってるかという点らしく。
「なんだこれ?」と引っかかる瞬間こそ、ブランドを思い出す入口になります。つまり、違和感はただの奇抜さではなく、記憶に残るための「認知のフック」として機能するということです。
ネガティブな反応をプラスに変える戦略

「なんか変」「最初はちょっと受け入れづらい」そんな感情から始まるキャラクターには、実は強い伸びしろがあります。
他と同じ王道可愛いではなく、少し異形であるということは、それだけで競合と被らないということ。つまり、その違和感こそがブランドの個性を語るメッセージになります。
「挑戦している会社だ」「面白い感性を持っている」といった空気は、言葉で説明しなくても伝わっていくものです。
印象に残るキャラクターは、最初の戸惑いも含めてブランドの物語に変わっていく。ネガティブに見えた反応が、長い目で見ると強み・プラスに転換していく可能性は大いにあります。
キャラクターブランディング特有の拡散力
キャラクターには、言葉よりも早く印象が広がる「拡散の力」があります。
特に「ちょっと変わっている」デザインは、賛否が生まれやすく、その反応が話題を呼ぶきっかけになります。ただし、炎上させることが目的ではありません。あくまで、初期の戸惑いや批判も含めた「議論」が、認知を押し広げる燃料になるということです。
見慣れていく中で「なんか好き」が芽生えていくケースは少なくありません。つまり、強い個性を持つキャラクターは、ただ受け入れられるのを待つのではなく、反応が生まれる前提で存在しているともいえます。その反応の積み重ねこそが、ブランドの記憶を作っていくのです。
刺さるキャラクターの法則と成功事例

「なんか気になる」から始まるキャラクターには、実は共通する法則があります。それは、強烈な見た目で記憶に残り、時間の経過とともに愛嬌や親近感が後から生まれてくるという流れです。最初は賛否があっても、行動や物語が積み重なることで、いつの間にか生活や記憶の中に居場所を作っていく。
ここからは、まさにその変化を体現した日本のキャラクターたちを例に、違和感がどのように人気へと転じていくのか、その法則を見ていきます。
「違和感」から人気者になった日本の成功事例
日本の人気キャラクター、ガリガリ君とせんとくんは違和感を持ちつつも人気になったキャラですよね。
まず、ガリガリ君は、もともと「可愛い」というより、どこか雑で素朴なキャラクターとして生まれました。言ってしまえば、アイスのパッケージとしては、きれいでも洗練でもない存在です。
しかし、その庶民性に寄り添うようにして、赤城乳業は「ナポリタン味」など、あえて攻めた商品展開を続けました。
「なんでそんな味出すの?」という会話が生まれ、結果として親近感のある国民的アイスというポジションを掴んでいきます。
せんとくんも同じ。初登場時には「怖い」「受け入れられない」と批判を受けましたが、イベント出演やグッズ展開を地道に続けたことで、人々の記憶に居場所を作っていきました。
繰り返し触れるうちに、違和感は見慣れた表情へと変わり、そしてちょっと可愛いに転じていく。 この2つの事例に共通しているのは、「違和感を消さなかった」ということです。
丸く整えるのではなく、個性として扱い、接触の中で愛着へと育てていった。そのプロセスこそが、キャラクターが息をし、文化になるための大切なステップなのだと思います。
「王道可愛いでなくても刺さる」法則とブランディング

王道可愛いでなくても人気が出るキャラクターには、共通した流れがあります。まずは「違和感」が認知の入り口になること。「なんだこれ?」と目に留まるから、覚えられる。そして、仕草や物語が積み重なることで、その違和感は次第に愛着へと変わっていきます。
また、今の時代は、整った可愛さよりも、ちょっとクセのある個性に惹かれる空気があります。この3つが重なることで、キャラクターは好きへと育っていきます。
これは、今後のブランディングでも、同じことが言えます。 万人に向けた可愛さではなく、「うちのブランドはこういう空気です」と示せる、強い個性とストーリーが必要になっていく。キャラクターは、その象徴になり得る存在です。少しの違和感を恐れず、育てていくこと。そこに、ブランドが選ばれていく理由が生まれる。Highliteとしては、そんな視点で今回の流れを整理しました。
